セルキー
Selkie
illust. 藤田佳希
「兄さんが呼んでる!」
少女は家を飛び出すと、海へ向かって駆け出した。その手には、かつて彼が隠したアザラシの毛皮がつかまれていた。
一人残された男は彼女が戻ってくることを願い、朝まで待ち続けた。セルキーは、二度と戻っては来なかった。
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