オルトロス
Orthrus
illust. hatomune13
それ故に、オルトロスは自らが無用のものだと感じていた。
洞窟の傍で意気消沈していると、突然、何かの気配を感じた。
鼻先を持ち上げて遠くの匂いを探る。人間だ。何者かが主人の領土を侵している。
彼には二つしか頭がないが、そのどちらも、このような行いを見過ごす気はなかった。
オルトロスは矢のように走りだし、匂いの元を追跡し始めた。
――L.Venduri "Orthos and Cerberus"
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