メロウ
Merrow
illust. 国末竜一
その時、お婆さんはびっくりしました。女の長い黒い髪がびっしょりと水に濡れて月の光に輝いていたからであります。女は箱の中から、真赤な蝋燭を取り上げました。そして、じっとそれに見入っていましたが、やがて銭を払ってその赤い蝋燭を持って帰って行きました。
――小川未明『赤い蝋燭と人魚』
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